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(注)この文書はあくまでも作者の経験・知識によるものです。内容はいかなる人物・団体も保証しません。各ソフトウェアの仕様に関しては、各ソフトウェアメーカにおたずねください。
1.はじめに
ノーツ、Exchangeも グループウェアとして知られています。ところで、グループウェアとは何でしょうか? グループウェアとは本来、共同作業を目的としたシステムのことですが、最近では情報共有データベースを意味する傾向が強くなっています。このページではグループウェアをデータベース(非構造型)として解説します。
ここでいうデータベースとはRDB(ORACLE)などとはまったく違います。いわゆる「知識の共有」のことであり、個人個人がもっている知識を皆で共有しようということです。例えば営業マンを例にとってみましょう。ある営業マンが 「A社でBという製品を売り込むためCという資料を元にD社にプレゼンテーションを行ったところ大成功した」という知識(経験)があったとしましょう。こえをこの営業マンの頭の中でとどめておいてはもったいないと思いませんか?このような知識を皆で集めようというのがグループウェアのデータベースの意味するところです。(よってRDBのAという製品が何個売れたとか構造化が可能なものと違い、主に文書や図形など非構造型のデータが蓄積されます。)
2.歴史
さてノーツはもともと知識共有型データベースとして開発されました。(詳細はSE関さんの「ノーツ徒然草の第一章」を参照してください。)ということで当然データベース型アプリケーション(例えば営業履歴、掲示板、ディスカッション)を作成しようとした場合最適です。特に「式」という 関数形言語を使用した場合には 驚くほど開発効力も向上し、かなり完成されたアプリケーションが作成することができます。
一方 Exchangeはどうでしょうか?Exchangeは MS-MAILの後継と言われていますが実はExchange は1993年に出荷された Windows NTよりも前に開発が始まっていたと言われています。1993年はグループウェアは世間にまったく認知されていませんでした。これは何を意味するのでしょうか?そうです。Exchangeはデータベースとして開発されたのではなく単なるメールサーバとして開発されたのです。Exchange ではデータベースとはあくまでも単なるメールの集まりです
3.比較
まず大きな違いとして、開発言語があげられます。先ほど述べたように、ノーツでは「式」というとても便利な言語が使用できます。Exchangeにも、一応ノーツの「式」のような簡易言語がありますがノーツの「式」とくらべるとあまりにも貧弱です。その他の違いとしてWebブラウザのサポートがあります。ノーツでは、だいぶ前から「Web
Publisher」としてWebブラウザを部分的にサポートしていました。現状では、デフォルトでWebブラウザをほぼサポートしています。(注:よく勘違いされる方がいらしゃいますが、完全にWebブラウザをサポートしているわけではありません。ノーツで動作するアプリケーションをWebブラウザでサポートするには、アプリケーションを改修する必要がある場合があります。)一方ExchangeもOWA(Outlook
Web Access)としてWebブラウザをサポートしています。ただ肝心なフォームがHTMLに変換されないという致命的な欠点があります。これはExchange2000でサポートされる予定ですが、ノーツと比較するとかなり遅れていることを認めざるおえません。
その他にもグループウェア機能に関して以下のような違いがあります。
ノーツ/ドミノ R5.0x | Microsoft Exchange Server5.5 | |
ブラウザからのフォームアクセス | ○ | ×(Exchange 2000でサポート、あるいはActive Server Pageで実現) |
全文検索 | ○ | ×(ノーツのようにあらかじめ索引を作成することはしない。検索のリクエストがあるたびに、それぞれの文書を検索する) |
フィールドの暗号化 | ○ | × |
文書ごとのアクセス権設定 | ○ | ×(Exchangeではフォルダごと) |
Microsoft Office文書の直接投稿 | × | ○ |
ファイルのドラッグ&ドロップ | ×(次期ノーツでサポート) | ○ |
(この他にも違いはありますが、省略します)
4.使い分け
ではどのようにして使い分けるのでしょう?
(1) 業務を実現
迷わず ノーツでしょう。確かにマイクロソフトが言うように
ノーツでできてExchangeではできないことはないと思います。しかし前述のように
開発に関するコストがまったく違います。ノーツでは5,6分で開発できる部分をExchangeで開発すると1時間かかるなどはざらですので気をつけてください。ただBackOffice製品と組み合わせてシステムを構築する場合にはExchangeが有利な場合もあります。
(2)メールだけ
Exchangeです。 ユーザインターフェースはだんぜんExchangeの方がすぐれています。ノーツも
R5になりかなりユーザインターフェースが向上しましたが、それでも初心者ユーザには使いにくいでしょう。また管理者の負担もはExchangeの方が軽いような気がします。(あくまでも経験上です。)
5.Exchange2000への期待
以上のようにグループウェアとしてはExchangeはノーツに大差をつけられています。ただ個人的にはノーツがグループウェアの分野で独占することは健全な状態とは言えないと思います。例えば、現状でノーツの開発を行うには「ドミノデザイナ」というライセンスが必要ですが、これがライセンスが結構高価でもはや「気軽にデータベース作成」とはいかなくなっています。このようにライバルを失ったノーツが危機感を失いユーザを無視した方向に進む危険性があります。
今後はExchangeがメールサーバとしてのみではなくグループウェアとして生まれ変わり、ノーツにプレッシャーをかける存在になることを希望します。